理学療法士ゆーやの健康@見聞録

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脳卒中の方を担当になった!歩行の予後予測はどのように考えようか!? 【論文紹介】

こんにちは。理学療法士ゆーやです!

今年は暖冬ですね。久しぶりに雪を拝みたいものです、、、(南国育ちなもので)。

 

ところで、皆さんはどのような施設、もしくは機関で働かれているでしょうか?

 

 

私は現在、回復期リハビリテーション病棟で勤務しています。

 

その中で何度も脳卒中の方を担当になった事がありますが、入院の時点で今後どのくらい回復するのか理学療法の目標はどのように設定すれば良いか幾度となく悩んだ事があります。

 

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職場の上司に相談する、過去の経験を基に考える、、、などして検討していくのですが、

エビデンスを基に考えるのも大事かと考えています。

 

今回、脳卒中の記事では歩行の回復を予測するための ”TWISTアルゴリズム” についての論文を紹介させて頂きます。

 

下記のような方はぜひ最後までご覧になってください。

 


◎若手の理学療法士脳卒中患者さんを担当になった

◎ベテランの方でも経験を踏まえて考えたい

 
◎今後の予後予測を踏まえた上で作成する装具の種類に迷っている
 
◎実習生と担当患者さんについての情報を共有したい

 
 
    ↓           ↓           ↓
 

論文タイトルの紹介:The TWIST Algorithm Predicts Time to Walking Independently After Stroke

著者:Marie-Claire Smith ら

雑誌:Neurorehabilitation and Neural Repair (Impact Factor : 3.757)

発表年:2017

内容:

 

【Abstract(要旨)】

本研究の目的は脳卒中発症後に対象者が自立歩行可能となるか、またはその時期を予測するためのアルゴリズムを探る事である。

 

【本文の内容】

イントロ:

脳卒中患者の歩行自立がリハビリテーションの期間や目標設定に影響を与える。

これまでに脳卒中患者の歩行能力回復を予測するための方法論についての研究はあるが、時期については検討されていない。

 

Methods:

(対象者) 脳梗塞、もしくは脳出血後の者でMotricity Index scoreが100以下、歩行監視、介助を要する者。

※ Motricity Index score = 脳卒中後運動麻痺に対する筋力評価

 

(評価) 発症3日後に下記の評価を実施。

  • Neurologic impairment was assessed with the National Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS)
  • Functional Ambulation Category (FAC)

  • Trunk Control Test(TCT)

  • Motricity Index
  • Medical Research Council (MRC) grades
  • 経頭蓋磁気刺激 と 運動誘発電位
  • MRI
※今回は経頭蓋磁気刺激とMRIの結果は省かせて頂きます。

(セラピー)

担当セラピストは評価結果について知らされていない。毎回の介入時間を記録。

 

(統計解析)

ロジスティック回帰分析を実施。

classification and regression tree (CART)による決定木分析を実施。これを基にアルゴリズム作成。

 

Results:

  • 41人が対象となった(中央値72歳、範囲43-96歳、59%が女性)。
  • 80%の患者が発症3日時点では歩行不可能であった。
  • 歩行自立度を予測した評価項目はTCTとMRCの股関節伸展筋力であった。
  • CARTによる決定木分析を基に 脳卒中後の歩行自立までの期間(TWIST)アルゴリズムを作成。これは95%正しく予測した。

 

 

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Fig. 3:TWISTアルゴリズム

(Smith M,2017より著者作成)

※●印は各カテゴリで予測されたものに対しての実際の結果を示す。

 

 

Tab.3 :TWISTアルゴリズムの感度と特異度

(Smith M,2017より著者作成)

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Discussion:

TWISTアルゴリズム脳卒中患者の歩行の自立度を予測する。

本研究の限界としてはサンプルサイズが小さい事が挙げられる。


 


 

以下は私の意見です!

今回の論文で発案されているTWISTアルゴリズムの評価項目、TCTやMRCは臨床でも簡易的に実施可能でとても便利かと思います。(MRCは筋力評価MMTに似ています。)

 

実際に脳卒中の方の今後を考えて下肢装具を作成すべきか、どのような種類がいいかと考えるときに、目標を考慮した上でひとつ参考になるのではないかと思います。

 

当院の回復期リハビリテーション病棟では複数のスタッフ間で装具作成に関する話し合いである「装具カンファレンス」を実施していますので、そのようなときにも参照したいと思います。

 

回復期病棟に入棟された時には本論文の1週間以内の評価を行うのは難しいかもしれません。その際は急性期からの申し送り等を参考に考えるのもいいかなと思いました!

 

しかし私の考える注意点として、このアルゴリズムはひとつの指標であり、これが全てではありませんので、しっかりと対象者をみた上で個別的に目標の検討、介入をしていく必要があると思っています。

 

ちなみに、脳卒中の予後予測に関しては下記の文献もとても参考になります。

 

 

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兵庫医科大学の医師である道免和久先生が編集されている文献です。

脳卒中後の歩行に関する予後予測のみならず、上肢機能や脳画像による予測まで幅広く紹介されております。

私も脳卒中の方を担当になった際にはこの文献を毎回参考にしております。

よかったら手にとって目を通してみてください。

 

以上です。

長文でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

皆様の臨床に役立つと嬉しい限りです。

それでは、また次回!!!

 

参考文献:

Smith M, et al. The TWIST Algorithm Predicts Time to

Walking Independently After Stroke. Neurorehabilitation and Neural Repair. 2017, Vol.31(10-11) 955–964.