理学療法士ゆーやの健康@見聞録

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【日々の臨床で考える】歩行の目的とその着眼点について、特に脳卒中片麻痺患者さんにおいての話!

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皆さんこんにちは!ゆーやです。

今回は臨床においてセラピストの方向けに「歩行」についてリハビリをする時に考えたいことについてお話できればと思います。

ちなみにこの内容は先日、私の職場で理学療法士スタッフ全員のミーティングで少し話した内容ですが、とても白熱した意見交換を繰り広げる事ができました。ありがたいです!

とりあえず身内話は置いといて、、、

皆さん(特に理学療法士の方)は歩行に対してどのように考え、どのように問題点を絞りリハビリ介入をされておられますでしょうか。

日々勉強し、常に思考を巡らせ評価、介入しておられる事かと思います。

ここでは私の意見を少し述べますね。

まず、私たち「ヒト」はなぜ二足歩行をするのでしょうか?

こちらは京都大学の松沢らの述べている事です。

 

”一人のおとなの男性が、民家の軒先から三つのパパイヤを盗った。両手と口にもって持ち運んでいる。今回の研究から結論できるのだが、資源が限られていて他者との競合がきついとき、チンパンジーは立って二足で歩くことが多いことが分かった。そのほうが一度にたくさん運べるからである”

 

引用

初期人類への最初の一歩:なぜわれわれの祖先は二足歩行になったのか、チンパンジー研究から解明されたこと — 京都大学

 

つまり、この内容によると限られた資源を独占するために1回に多く資源を持ち運ぼうとして四足ではなく、二足で歩くようになったのかもということである。

ここで考えるのが、物を持ち運ぶという目的のために、「手段」として歩行をしている点である。

これを現在の身近な人の生活に例えると、例えばトイレをするために「歩く」、友達や家族楽しく散歩するために「歩く」、田んぼを耕すために「歩く」、、、等いくつでも考えられますね!

ここで思うのがやはり、歩く(歩行)って結局「手段」なんですよね!

だから、僕たち理学療法士は歩行に着目して介入していく訳ですが、ここで忘れちゃいけないのが歩行って「手段」なんですね!!

だから歩行って楽にできないといけないと思うのです!

そして、マズローの欲求階層説を元にこんな図を作ってみました。

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これは三角ピラミッドのうち、上にいくほど高次的な欲求として捉えています。

記載していますが病院においては命を守り、身体機能を改善して、元ある状態へ可能な限り戻すという点があり、理学療法士においても介入できるのは「所属と愛の欲求」くらいまでかなと思います。(病院においてです!)

これより高次な「承認欲求(自分を認め、他者に認められたい)」や、自己実現欲求(自分らしく生きたい、創造的活動をしたい)」という部分は患者本人の環境や家族、地域、コミュニティ等多くの要素が必要になると思われます。

この欲求階層説を歩行に置き換えても同じで、病院内で関われる部分は図の通り下の3つくらいかなと思います。ここでさらに高次の欲求を満たすには歩行がより楽にできる越した事はないと思うのです。

ここでは特に脳卒中片麻痺の方の歩行について焦点を当てます。

「楽な歩行」を目指すために必要と思われる項目(私見

↓↓↓↓↓↓↓↓

  • 随意的ではなく、自動的である事!  →運動学習の初期段階では随意で意識してもらう必要がありますが、目標としては脊髄レベルでの神経コントロール(セントラルパターンジェネレータ)を元にした意識をしない歩行であること。健康な僕らも散歩する時に、「次は右足を踵からついて、そのあと左足を挙げようかな?」とか考えないですよね!
  • 連続的である事! →倒立振り子モデル(両脚支持期に重心が下がり、立脚中期に重心が上がる、この中で運動・位置エネルギーの変換が行われる事)が絶え間なく形成できているか?毎回止まっていたりしたら慣性も不十分だし非効率的ですね。

もちろんもっとたくさんありますが、

これを基に臨床で注意すべき点もあるかと思われます。

例えば、脳卒中片麻痺の方が歩く時に良く見られる光景、

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というシーン。

これは随意的プロセスが破綻している脳卒中片麻痺の方へ随意的要素を強要し、自動的プロセスの学習を阻害する要因になるかと思ってます!(もちろん、運動学習段階として必要な時期はあります!)

 

また、麻痺側片麻痺の方への理学療法として伝統的に麻痺側下肢に重心を載せる戦略をとる事が良くあります。

しかし、それって、筋出力や感覚、随意性が低下している麻痺側下肢に強要するのはとても大変だし、努力性となった結果、共同運動パターンを惹起しかねません。

そういった中で非麻痺側(健側)下肢に重きを置く、健側優位歩行は促通反復療法等で勧められています。 ※詳細については参考書や論文を参照ください。↓ ↓

 


 

 

これは対象の能力によりけりで、一つの考えとして持って置きたいです。

 

また、最近脳卒中片麻痺の方の歩行時には装具を積極的に使用する事を勧められており、脳卒中治療ガイドライン2015でも下記の記載があります。

歩行障害に対するリハビリテーションの部分の内容です。

脳卒中片麻痺で内反尖足がある患者に、歩行の改善のために短下肢装具を用いることが勧められる(グレードB)」

脳卒中治療ガイドラインに関しては一家に一冊、絶対に持っておいてください!笑

↓ ↓

 

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この装具も楽に歩行し、作業しやすくするために必要なものかと思います。

しかし、うちの職場の部長が良く言うのは「装具は治療用なのか?補装具としての役割なのか?装着する事での弊害はないか?効果判定を継続しなさい」という事です。

私も本当にこの通りであると思っていて、ガイドラインに載っているから「する!」ではダメで、その先に患者の状態や意見等踏まえ、検討すべきと思っています。

これは以前まとめたEBPに関する記事も内容が合致するかなと思います。見てみてくださいね。

yuya-hanamaru.hatenablog.com

部長が良く言われますが、「私たちは人を見なきゃいけない!」という事を忘れないようにしたいと思います。

 

内容が回り回ってもっと話したいところですが、

今回のまとめとして、まず対象者の歩行に着目する時に、その歩行の先に何があり、どのような生活があるのか?そしてそれを可能なかぎり実現するためには、「楽」に歩行できること。そしてそのため何を問題点として捉え、どのように介入するのか、常に考える必要があるのですね!

 

かくいう私も全然考えと勉強足りておりませんので日々精進します。

それでは本日はここまで。

最後までご覧頂きましてありがとうございました。

またぜひ見に来てくださいね!

 

参考文献:

阿部浩明ら. 脳卒中片麻痺者に対する歩行リハビリテーション. MEDICAL VIEW. 2016.